雪の下
この冬は本当に雪が多い。降る量も回数もだ。
私の作業小屋はちょっとした里山の奥にこっそりと在って、坂道を上がって行かなければならない。
ジムニーで良かった、と思う。
ジムニーでもフロントバンパーでラッセルしなければいけない程の積雪がこの冬は何度かあった。クラッチが焼ける臭いがして嫌な思いをした。近年は雪質が変わり、重たい雪で木々の枝があちこちで折れる。時にはそれらの処理をしつつ小屋へと向かう。
私は柿畑を借りており、剪定を年輩者に習いつつ、消毒や草刈りなどの管理をしている。この土地で育ち、今や90になるその方も、近年は天気が読めないと言う。
小屋に着くと、屋根の雪下ろしをする。手作りの小屋は山の斜面にうまく馴染んでおり台風にも負けないけれど、雪の重みはズシリと見て取れる。電気も水道もないこの小屋の屋根には半透明の波板を張ってあるが、積雪で採光できないし、波板は雪の重みでたわんでしまっている。雪の下で仕事をするのも楽しいけれど、何となく気分は良くない。
この写真の時の積雪は大したことはないが、こんな小さな小屋に膝上までの積雪がある時などは、やはり雪下ろしをしてやらないといけない。この冬は何度しただろうか。家の周りといいご近所周りといい小屋といい、除雪でずいぶん汗をかいた。寒いからと言って閉じこもっていては心身を病む。外で体を動かせば気分がいい。
そんなわけで、積雪は楽しいけれど、いい加減にしてくれという気持ちもある。しかしながら、雪が解けて少し地面が見えるとそこにはもう緑が芽吹いており、春はやって来ていることを感じる。間もなくフキノトウも出るだろう。昨秋レイズドベッドに植えた行者ニンニクも芽を伸ばすに違いない。里山の季節ごとの楽しみは尽きない。春はまた山菜や野草で忙しくなる。