趣味は徒然に自己完結【2021年版】私のPA音響システム
今週のお題「買ってよかった2021」
私が使っているPA音響システムを紹介。あくまでも趣味の話。
私は木の笛コカリナを吹く。アイリッシュハープを弾く女性ともう一人コカリナを吹く女性の3人で演奏活動をしている。地域の集会所やお寺、時には体育館や喫茶店、イベントなどで演奏する。コカリナはリコーダー並みの音量は出るが広い会場や屋外ではPAが必要になるし、アイリッシュハープはPAしないと聞こえない。アンサンブルするにはPAでバランスを取らないとコンサートにはならない。
そこで私は趣味も兼ねてPA音響機材を揃えている。今どきはそれなりに良いものが安く買えるありがたい時代。それなりに小規模コンサートが出来るだけの機材を買うことができる。もちろんプロの音響屋さんのようにはいかないけれど、私のように趣味の延長で演奏もするしPA音響もするという場合には十分すぎる機材を揃えていると思う。
それでは機材リストを。
- ①アナログミキサー Soundcraft notepad-12FX
- ②アナログミキサー Soundcraft EFX8
- ③フィードバックサプレッサー dbx AFS2
- ④メインスピーカー JBL EON ONE
- ⑤モニタースピーカー YAMAHA DBR10
- ⑥マイク SENNHEISER E835S
- ⑦マイク SENNHEISER XS-1
- ⑧楽器用コンデンサーマイク audio technica PRO35
- ⑨マイクケーブル CANARE EC10B
- ⑩電源ケーブル audio technica AT-PC600/2.0
- ⑪機材用ケーブル CANARE SPC10-B1-SA
- ⑫マイクスタンド K&M 21020B
すべてサウンドハウスの価格で計算するとこれだけで40万円ほどになる。今こうして書いていて自分で驚く。これはもう私の趣味の範疇ギリギリである。私の周りの人はこれだけ機材を持っていることに驚くし、おかげでコンサートが出来ると感謝される。音響にしろオーディオにしろ音に関するものはお金がかかるのだ。値段のことは妻には言えまいが、私が楽しそうにしていればそれでいいのだ。私ももう50近く、寿命の半分はとうに過ぎた。余生を楽しもう。
さて、各機材の紹介をば。
①アナログミキサー Soundcraft notepad-12FX
デスクトップサイズの小型ミキサー。モノラルチャンネル入力が4つあるので、アイリッシュハープ/マイク/コカリナ用マイク×2を入力できる。MASTER OUT L/R から dbx AFS2 に接続し、そこから JBL EON ONE 2台に出力してお客さんに音を届ける。 AUX OUT から YAMAHA DBR10 2台に直列で出力して演者用のモニターとする。
ファンタム電源の供給が自動的にされるので、コンデンサーマイク audio technica PRO35 を使ってアイリッシュハープの収音が出来る。GAIN は 30db の位置。PRO35 のアダプターにあるローカットスイッチをON、ミキサー入力のローカットスイッチをON、イコライザーはHFを-3db、MFを-6db、LFを-9dbで生音に近い出音になる。LEVELつまみは0の位置、MASTERフェーダーも0の位置。
コカリナ用マイク SENNHEISER E835S も、ミキサー入力のローカットスイッチをON。イコライザーはHF、MF、LFともに-3db。LEVELつまみは0の位置、MASTERフェーダーも0の位置。
内臓エフェクトもきれいな音がする。しかしコンサートでは使っていない。
Soundcraft notepad-12FX をサウンドハウスでチェック
②アナログミキサー Soundcraft EFX8
これはいかにも音響さんと言う感じで、ちょっと格好を整える時に使う。モノラルチャンネル入力が8つあるので、アイリイシュハープとコカリナの他に司会用マイクが必要な時とか、もう一人二人が管楽器などでアンサンブルに参加するとかいう時にマイクを入力して使える。その他、ギター弾き語りのオープンマイクイベントの時などには、まさに格好つける目的で使う。これはもう私の所有欲や物欲を満たすために購入したようなもの。それでも数万円で買えるのだからお得だ。Soundcraftの音はナチュラルで好い。
③フィードバックサプレッサー dbx AFS2
集会所や喫茶店など狭い会場では機材を思うように設置できなかったり、マイクとスピーカーをとんでもなく近くしなければならなかったりする。写真は公共施設のロビーフロアでアイリッシュハープとコカリナのコンサートをした時のもので、すぐ後ろはガラス張り、数メートル前は壁、天井は低く、ステージは狭い。私のように演奏もしながらPA音響もするという場合には、ハウリングの心配が一番大きく、あれこれ気になったり演奏に集中できなかったりする。しかしこれがあれば安心。
セッティングはとても簡単。PA機材を設置したら、一通りマイクの調整をする。そうしたら、AFS2のウィザードに沿ってボタンを押し、ミキサーのMASTERフェーダーを上げてハウリングをわざと起こして検出させるだけ。固定フィルターがセッティングできたら、あとは演奏中にはライブフィルターが自動で検出してハウリングを抑えてくれる。
当然ながらこれを使い始めたら見事にハウリングは無くなった。フィルターのおかげなのか音もすっきりしている感じで、聴くにも演奏するにも好い。私の場合、数万円で安心が買えれば安いものだ。もちろんPA機材の設置位置やマイクの調整はきちんとした上でこれを使うわけだけれど、素人が限られた環境でコンサートをするにはやはりハウリングの解消は一番大事だと思われる。
④メインスピーカー JBL EON ONE
主にお客さん向けに音を出すために使っている。10インチのサブウーハーの土台に2インチの高域用スピーカー6個が煙突の様に立ち上がるコラムスピーカー。煙突部分が細いのでステージの邪魔をせず、箱型スピーカーをスタンドで立てた時のようにいかにもスピーカーで音を出していますというような雰囲気がしなくて好い。
写真はステージの上に置いた状態。高域用スピーカーは直差しの一番低い状態にして、イスに座っているお客さんの頭の上に高さを合わせてある。演奏者はすぐ傍で横に出た高音域と低音と、前方の壁に反射して返ってきた高音域を聞いて演奏する。この時はモニタースピーカーは使わずにこの EON ONE 1台のみ。会場はロビーフロアで横に長い場所だったけれど、コラムスピーカーは横の方に音が拡がるので問題なかった。
広い会場ではミキサーのMASTER OUTからマイクケーブルでL、Rそれぞれを2台のEON ONEにつないでいる。音量は会場によってこのスピーカーのボリュームで調節する。コラムスピーカーの音は横への拡がりがあって客席前方中央のお客さんやステージ内の演奏者にもよく聞こえるし、遠くまで音が届くので客席後方のお客さんにもよく聞こえる。
出力は380Wとそれほど無いのでロックバンドのライブには向かないけれど、アコースティック系のコンサートなら室内でも屋外でも十分に使える。何より音がきれいで演奏者もお客さんもストレスがない。煙突部分は組立式で本体に収納できるので可搬性もいいし、会場に合わせて高さの調節もできるのがいい。
⑤モニタースピーカー YAMAHA DBR10
演奏者のモニター用に小さくて使いやすいものをと思い購入した。スタンドで立てることはもちろん、フロアモニターとして転がして使えるような形状になっている。
ミキサーNotepad-12FXの場合、AUX OUTからTRSフォンーXLRケーブルで1台につなぎ、スルーアウトからもう1台へXLR-XLRケーブルでつないでいる。
マイク入力のGAIN調整が出来ていれば、ミキサーのチャンネル毎のAUXつまみはすべて0の位置、全体のAUXつまみも0の位置、DBR10のボリュームも0の位置でOK。DBR10の演奏者からの距離や角度を調整してOK。
出力はEON ONEよりもDBR10のほうが上回るので、DBR10をメインにしてEON ONEをサイドモニターにしたほうがスペック上は理にかなっているかも知れない。けれど、やはりEON ONEの立ち姿はステージの前のほうが輝く。フロアモニターとしてDBR10が足元に置けない(置きたくない)ならスタンドでステージサイドに置けばいいかも知れない。
⑥マイク SENNHEISER E835S
ドイツのメーカーSENNHEISER、使って間違いないでしょう。SHURE SM58も持ってはいるけれど、これはおそらくプロの方がきちんと音質調整をしてはじめて良い音になると思う。SENNHEISER E835Sは素人が使いやすい素直な音だと思う。ミキサーのイコライザーをいじらなくてもそのままでいいと思う。私は敢えて少しずつカットしているけれど、これは木の笛コカリナの音と、合間のトークを聞きやすくするためであって、きちんと調整しているとは思っていない。
作りはとてもかっしりとしていてさすがはドイツという感じがする。手で持ったときに起こるハンドリングノイズもスイッチONOFFの時もほとんど無い。持ちやすい形状と重さのバランスだし、色合いも、先端がフラットになったグリルの形状も全体のシルエットも上品でとても好い。SHURE SM58は使わなくなってしまった。
SENNHEISER E835S をサウンドハウスでチェック
⑦マイク SENNHEISER XS-1
E835Sを使ってみた後に、XS-1を司会用に購入した。お話し用にOK。価格もGOOD。
SENNHEISERのマイクはどれもデザインが好いと思う。SHUREもそうだけれど、どうもあの棒に丸い玉が付いているマイクの形状が好きではない。その点、SENNHEISERなどはとにかくデザインが好い。音質もクセが無い感じで好い。
⑧楽器用コンデンサーマイク audio technica PRO35
アイリッシュハープの集音用に使っている。管楽器用なのでクリップ式。アイリッシュハープの前面の共鳴板からの音と弦からの音を集音できるように取り付けている。DPA PC4099というマグネット内臓のマイクホルダーにPRO35のクリップを挟み、アイリッシュハープ内部の共鳴板の裏から強力なマグネットで留めている。
PRO35は小さいのでアイリッシュハープ前面の共鳴板に取り付けていてもそれほど気にならない。アイリッシュハープ後面のホールがあるところから集音しようとすると低音が増えるし、ハウリングしやすくなるので、敢えて前面の共鳴板と弦の響きそのものを収音している。
PRO35に付属のアダプターに付いているローカットスイッチはON。ミキサー入力のローカットスイッチON、イコライザーHF-3db、MF-6db、LF-9dbで生音に近い出音になる。取り付け位置は、マイク部分を共鳴板から10cmほど離れるようにブームを調整し、真ん中のドの弦の根元を狙うと、共鳴板からの音と弦からの音とを拾える。取り付け位置はアイリッシュハープの機種によっても変わるけれど、どの機種も概ねこの位置で落ち着いている。この位置であれば低音から高音まで全体の響きのバランスも好いし、弦を弾く音も程よく聞こえると思う。これは演奏者と相談の上で決めていることなので、人によって変わってくると思う。
PRO35を使う前は、共鳴板に接触して取り付けるタイプのピエゾマイク(空気の振動ではなく物体の振動を拾うもの)を使っていたけれど、これはどうにもカサカサしたりピキピキしたり、繊細すぎると言うか音がキツいと言うか、あまり好い感じではなかった。そのものの特徴の通り、まさに物体が出している音と言う感じで、楽器全体とその周辺の響きや音の広がりというような空気感がなかった。PRO35はその空気感が出るので、そういう意味でも選択して正解。
audio technica PRO35 をサウンドハウスでチェック
⑨マイクケーブル CANARE EC10B
マイクやモニタースピーカーの接続に使う。カナレ製ケーブルとノイトリック製コネクターという安心の組み合わせ。小規模コンサートではマイク用なら10mあれば事足りる。7mでもいい。それと、ミキサーとdbx AFS2 をつなぐのに0.3mを使う。黒色のコネクターは SENNHEISER のマイクにも合う。
⑩電源ケーブル audio technica AT-PC600/2.0
JBL や dbx 、Soundcraft など海外メーカーの製品には3ピンの電源ケーブルが付いてくるので別途2ピンの電源ケーブルを用意する必要がある。安いものでもいいのだけれど、せっかくなら良いものをと思う。これ、たしかに音質や安全性などは良いのだけれど、一つ難点はケーブルに硬さがあって巻き癖が取れないこと。それだけちょっと気になる。プラグに接地側表記があるので、そっち側がコンセントの左になるように差し込めば音質が良くなるとオーディオの世界では言われるけれど、私にはわからない。わからないけれど、プラグに表記があるのならそれに従うのみ。
audio technica AT-PC600/2.0 をサウンドハウスでチェック
⑪機材用ケーブル CANARE SPC10-B1-SA
これは TRSフォンーXLR のケーブルで、ミキサーの MASTER OUT から EON ONE にLINE入力でつなぐ時に使う。長さが足りない場合にはマイクケーブルをつなぎ足せばいい。
CANARE SPC10-B1-SA をサウンドハウスでチェック
⑫マイクスタンド K&M 21020B
かっしりしていて重さもあってグラつかない。振動が伝わりにくいので当然マイクに伝わるノイズも減る。ドイツ製は好きだなぁ、私。色はシルバーもあるけれど、やはり黒のほうが目立たない。
ポールもブームもいっぱいに伸ばして100wのレフライトを取り付け、両サイドからステージを照らす照明スタンドにすることもある。この時はさすがに転倒が怖いので足をガムテープで床に固定する。
というようなわけで、私の現状、2021年末のPA音響機材はこんな感じ。他にも細かいものは色々あるのだけれど、基本的に趣味は自己完結なわけで、それこそ趣味は色々なので好きにすればいいわけで、デザインで選ぶも機能で選ぶも人それぞれ。音にしたって服や車にしたってどれも同じで、好みやセンスは人それぞれなのだし、どんな風に楽しむかが大事なわけで、新しい機材も続々と世に出てくるわけだし、数年したら自分の趣味嗜好も変わるだろうし、その時々で楽しもうと思う。要らなくなったら売っちゃって、新しいのを買えばいいし、モノにも何にも執着せず、今この時が楽しければいいじゃないの。